2012年7月　教育未来委員会視察（苫小牧市、札幌市）

平成24年7月24日（火）～7月26日（木）、千葉市議会教育未来委員会において、札幌市、苫小牧市の行政視察を実施いたしましたので、報告いたします。

苫小牧市

【調査項目】

苫小牧市で、「すくらむ苫小牧トータルサポートプラン(不登校対策実践事業)」、「苫小牧市学力向上アクションプラン」事業について説明を受けました。

（１）すくらむ苫小牧トータルサポートプランについて

「すくらむ苫小牧「SCRM」(苫小牧子ども支援ネットワーク)」は、いじめ、不登校、暴力行為、児童虐待等の問題を抱えている児童・生徒の社会的環境を改善するため、スーパーバイザー及びスクールソーシャルワーカーを学校教育部指導室に配置しているとのことでした。

このスクールソーシャルワーカー等は、社会福祉士若しくは精神保健の資格を有する者、又は教育及び福祉の分野における活動の実積がある専門的な知識及び技能を有する方々だそうです。社会への道筋をつけるためには、継続的な支援が必要ですが、特に福祉という面から個別支援を行なうと、長期に渡るケースが多くなります。

本事業では、複数の団体が関わっているので、現場では最終的に誰が責任者を持って支援を行っていくのか、そのような考え方で事業を行う必要があると思われます。

（２）苫小牧市学力向上アクションプランについて

全国学力学習状況調査、苫小牧市で行われている統一学力検査、これらを基に適切な実態把握と課題解決の手立てを見出すという、そういった学力向上のプランである。

特に、各学校が学力向上の取り組みにおけるアプーローチの視点として３つを示しているところである。

1. 各学校における授業改善
2. 小中学校の連携
3. 家庭への啓発・協力依頼

このような事業は画期的なことだと思いました。

札幌市

【調査項目】

札幌市こどもの劇場やまびこ座、札幌市ファミリー・サポート・センター事業、札幌市若者支援基本構想の概要について説明を受けました。

（１）子供向け・子育て関連施設について

こどもの劇場やまびこ座

札幌市東区にある、やまびこ座に訪問視察。やまびこ座は、人形劇・児童劇・伝統芸能など児童文化の創作・学習・鑑賞・発表の場として、１９８８年８月に開館しました。

現在、子どもの為の人形劇専用劇場は、札幌市、高知市のとらまる座だけで、人形劇団などと協働し、より優れた舞台芸術を提供していくことを目的とした、子どものための劇場です。

人形劇は、夢を脹らませ、感性を豊かにさせ、子どもの発達に良い影響を与えると思います。劇場では、一日二回公演されていますが、また、施設には憩いの場、展示・図書コーナーもあり、子育て中の方には、コミュニケーションの場所にもなっています。

（２）若者支援施策について

札幌市若者支援総合センターについて

札幌市の若者向け相談では、個別支援が他の機関と上手く連携が取れており、見習う点が多くありました。また、「学びなおしサポート」という事業は、高校への再入学や高卒認定試験の合格を目指している子どもの学習をサポートするものです。

是非、千葉市でも実施を検討して欲しい事業です。

（３）子育て支援について

札幌市の児童福祉総合センター（児童相談所）を訪問し、札幌市児童相談体制強化プラン(児童相談所と区役所の体制・機能強化及び地域との連携)について説明を受けました。

こども緊急サポートネットワーク事業を含む子育て支援について

札幌市児童相談体制強化プランについて

札幌市児童相談体制強化プラン(児童相談所と区役所の体制・機能強化及び地域との連携)について説明を受けました。札幌市の児童相談において、虐待に関する相談は年々増加傾向にあり、一件あたりの業務量が増大しています。

中でも、児童虐待に対する相談・保護の体制強化が課題となっており、また、ネグレクトの割合が多いのが特徴です。「近隣・知人」「関係機関」からの虐待通報が多くなっていますが、今後も子どもを守る「地域力」の向上が大きな課題です。また、社会的養護体制の整備に関して、特に施設退所児童等への相談・就労支援が課題となっています。

今後、一人ひとりの子どもの状況に留意しながら、きめ細かなコーディネートを行うことが重要で、現在、札幌市では「(仮称)就労支援コーディネーター」の派遣を検討しているそうです。

千葉市における児童虐待の状況は、他市と同様に増加傾向ですが、是非、この問題には力を入れていかなければならないと思っています。

確かに児童施設の整備も必要ですが、出来る限り地域の中で、子どもが安心して育つように住民がサポート出来る体制・地域づくりを目指していけたらと思います。