2018年8月 個人視察報告(川崎市子ども夢パーク)
2018年 8月22日水曜日、川崎市子ども夢パーク視察をしましたので、以下 ご報告いたします。
1.調査事項
川崎市子どもの夢パークの概要と取り組みについて(神奈川県川崎市)
川崎市 人口:1,516,052人 面積:144.35k㎡ (平成30年8月1日現在)
子ども夢パークは、「子どもたち一人ひとりが大事にされなければならない」を実現するために、川崎市の子どもと大人が一緒に作った「川崎市子どもの権利に関する条例」(2001年4月施行)をもとに2003年7月につくった施設である。
2006年4月からは、指定管理者制度のもと「(公財)川崎市生涯学習財団」と「NPO法人フリースペースたまりば」で結成された「川崎市子ども夢パーク共同運営事業体」が管理・運営している。
同施設では、川崎市子ども会議の事務室があり、多目的スペース「ごろり」では定期的に話し合いの場が開かれている。屋外には、冒険遊び場として自由な発想で思い切り遊べるプレーパークエリアや、学校外で多様に育ち学ぶことを保障する不登校児童生徒の居場所である「フリースペースえん」などがある。
また、乳幼児や障がいをもった人とその保護者のための部屋「ゆるり」などがあり、夢パーク全体が子どもの居場所となっている。
<施設概要>
川崎市子ども夢パークは、川崎市高津区にあり、敷地の面積はおよそ10000㎡。(うち建物面積は1800㎡)。JR南武線津田山駅から徒歩5分のところに位置しており、開設時間は毎日9時から21時まで。閉所は原則第3火曜日の施設点検日と年末年始(12月28日から1月4日)のみで、その他の日は開所しています。
<屋内施設(2階建て屋上あり)>
・ゆるり(1階:個室)
・スタジオ(1階:個室)
・川崎市子ども会議事務室(2階:個室)
・多目的室(2階:屋根つき壁なし)
2.施設の内容
「川崎市子どもの権利に関する条例」にもとづいて設置された「川崎市子ども夢パーク」は、「生きているだけで祝福される場を」という思いで運営されています。
<夢パークの3つの柱>
1.こどもの活動拠点
子どもが自由に安心して集い、自主的・自発的に活動する拠点。子どもが夢パークの運営等に意見を表明し、参画するための「夢パーク子ども運営委員会」が開かれている。さらに、市政について市長が子どもの意見を求めるための「川崎市子ども会議」の事務室がある。
2.プレーパーク
「ケガと弁当自分持ち」で、大人が用意した環境ではなく、子どもたちの「やってみたい!」という気持ちを大切にしている。土や水、火や木材などの自然の素材や道具や工具を使い、子どもたちの遊び心によって自由に使える遊び場。禁止事項をできる限りつくらず、子どもたちが自分で決めたり、危険を判断したりできるようにしている。「川崎市子どもの権利に関する条例」の27条「子どもの居場所」の条文がパーク内に掲げられている。
3.フリースペースえん
学校の中に居場所を見いだせない子どもや若者たちが、学校の外で多様に育ち・学ぶ場。毎日お昼ご飯を作って食べるなど「暮らし」をベースにしている。一人ひとり自分のペースに合わせて自分のプログラムを考えて活動する。学校長の判断によるが、川崎市内・外を問わず希望した子どもたちは「えん」に通った日が学校の出席として認定され、通学定期も発行される。
「フリースペースえん」は、[1]指定管理者制度による公設民営であること、[2]必ずしも学校復帰を目的とした施設ではないこと、[3]ここで育った子ども達は、大学検定などで社会復帰していくケースが行政が設置した「適応指導教室」に通っている子ども達より多いとの調査結果が出ていること等、不登校へのサポートのあり方や子ども達の「居場所のちから」について提言できる。
ヒューム管工場跡の約1万㎡の広大な敷地に1,800㎡の建物を市が建設して開設されたもので自然体験ができるため、子どもがのびのびと遊んでいた。また、建物内に全国でも、公設民営の「フリースペースえん」が開設され、不登校・非行・多動性障害などで学校に行けない(あるいは排除された)子どもをはじめ30歳くらいまでの人たちを受け入れていた。
<今後の課題>
定員30人に対して、現在140人が通っているが、施設の増設ができない。また、福祉的な支援が必要な子どもの為に、今後は宿泊支援が必要となっている。
3.視察の感想
千葉市内にも不登校、ひきこもり等を支援している団体はありますが、運営面で親の負担が大きいのが現状です。川崎市こども夢パークのように公設民営で子どもの居場所を作る必要があり、フリースクールを含めて選択できる環境づくりのための研究を進めていく必要がある。子ども夢パーク事業が市民との連携・協働による共創社会づくりに与える影響は大きいものがある。
川崎市においても中間教室など、不登校の児童、生徒への取り組みはされているようだが、元の教室へ戻そうとするための考え方が学校、家庭含めて多いのではないかと感じている。新たな価値が想像できる多様な居場所づくりの必要性を感じた。不登校の子たちが中間教室だけでなく、自由に時間を過ごせる場所を作っていく必要性を強く感じた。
子ども夢パーク理事長 西野氏「生きているだけで良いんだよ!」というコトバが強く印象に残りました。
・一人一人の子どもの自分でやりたいことを応援(子どもが自分で決めるプログラムを行っている)個別の児童生徒に対する組織的・計画支援はある。