2018年1月 個人視察報告(神奈川県横須賀市)
2018年1月22日(月)、横須賀市へ視察に伺いましたので、以下ご報告いたします。
1.視察の目的
横須賀市におけるエンディングサポート事業取組みについて
2.視察の内容
本事業は、市内の独居死亡者で親族がいない場合、市は対象者を弔う際に費用負担していますが、生前意思を本人から聞いていない為、本人の意向に沿ったことはできませんでした。
また、昨今では、民生委員に対して終活について独居高齢者から相談が増加すると共に、遺骨の引き取り手の無いケース(身元不明者+身元判明者でも引き取り手の無い遺骨)も増加し、無縁の市の納骨堂もいっぱいになる等、納骨できない遺骨は産業廃棄物として処分されてきました。
本事業に際しては、当初、行政が支援すべきことかどうか、という意見もありましたが、65歳以上の単身世帯が増え続けている現状から、引き取り手のない無縁遺骨も増加しています。
平成26年度の独居死亡者の内、身元不明者3人、住民登録者57人ですが、住民登録もありながら預貯金もある市民の遺骨が引き取られなくなってきた。(10年間で無縁仏は倍増し、30人に1人が住民登録のある一般市民でなおかつ、看取られている人である。)
提携葬儀社 7 事業者(当初は4社)本事業は利益が無く、社会貢献的な事業であるが、事業者の信用が増すとの判断で提供を希望する事業者が増えてきている。
●支援の流れ
- 対象は、一人暮らしで身寄りがなく一定の月収が16万~18万円以下で、預貯金は100万円以下(それ以上の資産があれば、足立区や調布市や福岡市のように、社協の事業として弁護士やNPO、後見人等に事務委任できる。)、不動産を有しない日本国籍の者
- 希望する対象者は、この事業の協力葬儀社等と生前契約を交わし、費用(20万6000円以内)も預けていただく。費用は原則として生活保護基準。
- 希望により、リヴィングウィル(延命治療の意思)も、市と葬儀社が保管。
- 生前契約が締結後、市は支援プランを立て、カード発行(大小2枚)。本人は、カード小を常に携行。カード大は自宅玄関先に貼付。万一に備える。
- 本人の希望に応じ、市職員は本人宅を3か月ごとに訪問し、葬儀社も年1~2回訪問し、安否確認をする。
- 緊急時(入院や死亡時)には、当該カードによって、医療機関などから市や葬儀社に連絡が入る。これにより、リヴィングウィルの迅速な伝達や葬儀の円滑な進行が実現される。
※予算27年度22,000円 28年度103,000円
事業の周知に課題が残る。
●事業の成果
- ひとり暮らしで身寄りがなく、経済的なゆとりがなくても自分の意志で実現できる。
- 過剰な費用負担をすることなく、過剰金は、今の生活に生かせる。
- 本人の安心が確保できる。
- 生前意思の実現が可能。
- 地域住民のメリットは身寄りも、ゆとりもない人が亡くなった後の
地域住民が担うが担う様々な負担を大幅に軽減できる。 - 行政のメリットととしては、無縁納骨堂に納める遺骨が減り、また本人が予納済みなので、市の葬祭費の支出がなくなる。また、地域からの苦情が減る。
※千葉市でもエンディングサポート事業が始まりましたが、横須賀市のような事業内容であれば、一人暮らしの市民が更に安心できると思いました。